MATLAB
概要

MATLABのプログラムは独自の言語で記述する。C言語やFortranなどの汎用言語とは異なり、変数の型宣言やメモリ管理を利用者が直接行う必要がなく、コマンドを入力すると即座に結果を確認できる。行列演算を1行のコードで表現できるなど、数学的な処理を簡潔に記述できる文法は、理工系の実務や研究現場での生産性向上に資する。
計算結果を2次元や3次元のグラフや図として即座に可視化する描画機能も備える。統計解析や信号処理、画像処理、機械学習といった様々な処理に対応しており、専門的な計算を比較的少ない記述量で実行できる。作成したプログラムはスクリプトや関数として保存でき、処理の自動化や再現性の確保が可能である。
用途に応じた拡張パッケージとして「ツールボックス」が提供されている。制御工学や通信工学、金融工学、最適化、ディープラーニングなど様々な分野向けのものがあり、必要な機能を追加することで専門領域に特化した環境を構築できる。C言語やPythonなど他のプログラミング言語との連携も可能である。ブロック図でシステムをモデル化およびシミュレーションする関連製品「Simulink」と組み合わせることで、機械や自動車、航空宇宙、ロボティクスなどの研究開発にも対応できる。
MATLABの原型は1970年代後半に数学者のクリーブ・モラー(Cleve Moler)氏が開発した。当時主流だったFortranを学ばなくても学生が数値計算パッケージを利用できるようにする手段として設計されたもので、理工系の大学で広まった。1984年にジャック・リトル(Jack Little)氏らがソフトウェアを書き直してMathWorks社を設立し、商用製品として提供を開始した。現在では大学や研究機関から産業界まで幅広い用途で標準的なツールとして利用されている。