LangChain
概要

対話型AIは単体では学習済みの知識しか持たず、最新の情報を反映した回答や自律的な計算、データ検索を行うことができない。LangChainは、こうしたAIモデルとインターネット上の情報や企業内のデータベース、各種ツールとを結び付ける役割を果たす。
代表的な用途として「検索拡張生成」(RAG:Retrieval-Augmented Generation)がある。これは社内文書やWebページなどから必要な情報を検索し、その内容を言語モデルに渡した上で回答を生成する仕組みである。文書の分割やベクトルデータベースへの登録、類似検索、検索結果の受け渡しといった一連の処理を統合して扱えるため、独自データを活用する生成AIシステムの開発に用いられている。
処理の中心となるのは、複数の機能や外部ツールを鎖のようにつなげて実行する設計である。入力内容に応じて検索や計算、外部サービスへの問い合わせを切り替えたり、複数の言語モデルを組み合わせたりすることもできる。特定のAIモデルに依存しない構成になっており、システム全体を大きく変更することなく利用するモデルを別の企業の製品へ切り替えられる。OpenAI GPTやAnthropic Claude、Google Geminiなどの言語モデルや、PineconeやChromaなどのベクトルデータベースを含む700以上のサービスとの連携に対応する。
LangChainは2022年10月にハリソン・チェース(Harrison Chase)氏が公開したもので、公開から8週間でGitHub上において最も急成長するリポジトリとなった。大規模言語モデルの普及に伴い、文章生成に留まらず実務で使える業務システムへの応用が求められる中、AIモデルと外部システムを連携させる開発作業を共通化する枠組みとして定着した。
姉妹プロジェクトとして、複数のAIエージェントが協調して動作する仕組みを提供する「LangGraph」も立ち上げられ、2025年10月にはLangChain 1.0とLangGraph 1.0が正式リリースされた。エージェント機能の土台となるLangGraph、動作の監視や評価を担う「LangSmith」と合わせた一連のプロダクト群により、AIエージェントの開発から運用までを一貫して扱える環境が整えられている。