読み方 : エルディーピーシーふごう

LDPC符号【Low-Density Parity-Check code】低密度パリティ検査符号

概要

LDPC符号とは、通信や記録の過程で生じる誤りを検出・訂正するための誤り訂正符号の一つである。検査行列の中で1の数が少ない疎な構造を持つ方式で、高い訂正性能と効率のよい復号処理を両立しやすいため、高速通信や大容量記憶装置で広く利用されている。
LDPC符号のイメージ画像

デジタル通信では、送信したビット列が雑音や干渉の影響で途中で変化することがある。このため、元の情報に一定の冗長な情報を加えて送ることで、受信側が誤りを見つける「誤り検査符号」、修正までできる「誤り訂正符号」という仕組みが使われる。

LDPC符号は誤り訂正符号の方式の一つで、符号語が満たすべき多数のパリティ検査条件を、疎なパリティ検査行列で表現する。疎であるとは、行列全体の要素の多くが「0」で、「1」が少数しか含まれないことを意味する。復号過程では、受信した各ビットの確からしさとパリティ条件との整合性を見ながら、ビットごとの推定値を何度も更新していく方法が用いられる。検査行列が疎であることにより、この反復的な復号過程を計算量を抑えながら実行することができる。

LDPC符号は1960年にロバート・ギャラガー(Robert G. Gallager)氏によって考案されたが、当時の計算機では復号処理の計算量が大きすぎて実用化が難しく、長らく注目されなかった。1990年代に再発見され、ターボ符号と並んでシャノン限界(理論上の通信路容量の上限)に迫る性能を持つことが明らかになり、以降急速に実用化が進んだ。

LDPC符号には規則的な構造を持つものや不規則な構造を持つものがあり、必要な性能、遅延、実装容易性に応じて設計が行われる。現在では、無線LANIEEE 802.11n以降)、衛星通信(DVB-S2)、デジタル放送、光通信、第5世代移動体通信(5G NR)、SSDなどのNANDフラッシュメモリ製品など、多くの分野で採用されている。ターボ符号と並んで高性能な誤り訂正技術として知られ、適用分野や実装条件によって使い分けられる。

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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