読み方 : アイピーコア
IPコア【intellectual property core】
概要

チップ設計者は必要な機能を持つIPコアを組み合わせることで、回路を一から設計することなく、独自のチップを構成できる。特にSoC(System-on-Chip)の開発では、CPUや画像処理回路など多数の機能を一つのチップに集積する必要があり、既存のIPコアを組み込む手法が広く採られている。
IPコアを利用する最大の利点は、開発期間と費用を抑えられることである。すべての回路を新規開発すると膨大な時間とコストがかかるが、実績のあるIPコアを使えば、その分の設計工程を省略できる。実際の利用環境で動作検証が済んでいることも多く、不具合の少ない回路を短期間で実装することができる。
IPコアは、提供される設計データの形態によっていくつかの種類に分けられる。回路の論理構造をハードウェア記述言語(HDL)で記述したデータは、特定の製造プロセスに縛られず、利用者側で内容を調整できる柔軟性を持つ。一方、特定の製造プロセスに合わせて物理的なレイアウトまで確定させたデータは、性能や消費電力の最適化が進んでいる代わりに、組み込みや転用の難易度が高い。両者の中間として、論理合成を終えたネットリストの形式で提供されるものもある。
半導体産業では、回路の設計を専門に行う企業と、製造を専門に請け負う企業への分業が進んでいる。この産業構造のもとで、IPコアの開発とライセンス提供を専門とする企業も数多く存在する。プロセッサコアを手がける英アーム(ARM)社や、設計ツールとIPコアの両方を扱う米シノプシス(Synopsys)社などが有名で、これらの企業が提供する回路は、スマートフォンをはじめとする様々な電子機器の半導体に組み込まれている。
(2026.7.18更新)