読み方 : フィットトゥスタンダード
Fit to Standard
Fit to Standardとは?

従来のパッケージシステム導入では、自社固有の業務フローを維持するためにソフトウェアを大幅にカスタマイズする「Fit and Gap」が主流だった。しかし、この方法は開発費用の膨張や保守の複雑化を招きやすく、バージョンアップの際に既存の改修箇所との整合性を保つ作業だけで多大なコストが生じる。こうした問題への反省から、システムに業務を合わせる発想が広まった。
独SAP社や米オラクル(Oracle)社など世界的大手が販売しているERPパッケージには、世界中の企業の業務ノウハウを集約したベストプラクティスが標準機能として組み込まれている。Fit to Standardを採用すればこれをそのまま活用でき、導入期間の短縮やランニングコストの抑制につながる。カスタマイズを最小限に抑えることで、ベンダーが提供する機能更新やセキュリティ対策も滞りなく適用できる。
この考え方が広まった背景には、クラウド型システムの普及がある。クラウドサービスは複数企業が同一基盤を共有する仕組みのため、個別の作り込みが技術的に難しく、導入側が標準機能に従うことをほぼ前提として設計されている。クラウドERPを選ぶ段階で、実質的にFit to Standardの姿勢が求められることになる。
実際の導入では、標準機能と現行業務の差異を「フィット&ギャップ分析」で洗い出し、どこを標準に合わせてどこを例外扱いにするかを判断する。標準への適合を徹底するほど、現場が慣れ親しんできた業務手順を変える範囲は広がる。経営層が明確な方針を示さなければ現場の抵抗で頓挫しやすく、単なるシステム刷新ではなく業務改革として取り組む姿勢が求められる。