Dell
概要

1984年、当時テキサス大学の学生だったマイケル・デル(Michael Dell)氏が “PC's Limited” の社名で創業した。流通業者を介さず、顧客の注文に応じて組み立てる直販・受注生産方式を採用し、1987年に “Dell Computer” 社に改称した。
顧客がCPUやメモリなどの構成を(初期には電話やFAXで、90年代後半からはWebサイトで)指定すると、その内容に合わせて工場で組み立てて配送する仕組みは「BTO」(Build To Order)と呼ばれる。オーダーメイド、低価格、短納期を同時に実現したこの製造・販売モデルは、パソコン業界の販売方式を変えた事例として知られている。
日本市場には1993年に参入し、DOS/V規格に対応したPC/AT互換機を扱う外資系メーカーとして知られる。Windows 95の発売で国産メーカーの独自仕様パソコンからDOS/V系への転換が起こると、本国同様のダイレクトモデルを武器に大きな市場シェアを獲得した。
創業当初はデスクトップパソコンのみを扱っていたが、1994年にノートパソコン、1996年にサーバへと事業を広げ、液晶ディスプレイやネットワークスイッチ、ストレージシステムなどの周辺市場にも進出した。2001年にはパソコン出荷台数で世界首位となっている。
2009年には米ITサービス大手のペロー・システムズ(Perot Systems)社を買収し、企業向けサービスに参入した(同社は後にNTTデータへ売却されている)。2013年にはデル氏が投資ファンドのシルバーレイク(Silver Lake Partners)と組み、約250億ドルで会社を非公開化した。2016年にはストレージ大手の米EMC社を約670億ドルで買収し、傘下のVMware社とともに統合してグループ持株会社の名称を “Dell Technologies” に改めた。2018年には複雑な財務再編を経て再上場を果たしている。
VMwareは2021年に分離して独立企業となり、2023年には米ブロードコム(Broadcom)社が690億ドルで買収した。現在のDell Technologiesは、サーバやストレージを扱うInfrastructure Solutions Group(ISG)と、パソコンや周辺機器を扱うClient Solutions Group(CSG)を事業の柱としている。近年ではAI向けサーバやデータセンター向けストレージへの取り組みを強めており、AI最適化サーバを含むインフラ事業の売上高が伸びている。