読み方 : ディーイーエム
DEM【Digital Experience Monitoring】デジタルエクスペリエンスモニタリング
DEMとは?

従来のシステム監視は、サーバのCPU使用率やネットワークの通信速度といったインフラ側の指標を中心に据えていた。しかしこれらが正常値を示していても、特定の地域の利用者だけ画面の表示が極端に遅いといった事象は見落とされがちである。DEMはこの盲点を補うもので、画面の応答速度や操作に対する反応の遅れ、エラーの発生頻度といったユーザー体験(UX)を構成する指標を直接的に計測する。
計測手法は大きく二種類ある。一つは実際の利用者が操作する端末上で動作データをリアルタイムに収集する「リアルユーザーモニタリング」(RUM)で、現実の利用環境をそのまま捉えられる。もう一つは自動化されたスクリプトが仮想的に操作を再現する「シンセティックモニタリング」で、利用者がいない時間帯や特定の条件下でも定点的に品質を確認できる。両者を組み合わせることで、問題の即時検知と継続的な品質把握を両立できる。
DEMが注目される背景には、クラウドサービスの浸透とリモートワークの普及がある。利用者がオフィスの管理された端末だけでなく、自宅や外出先からも業務システムにアクセスするようになった結果、利用環境が多様化し、管理者の目が届きにくい場所でのトラブルが増えた。DEMはこうした分散した環境全体の品質を一元的に可視化する手段となっている。
IT部門にとっては、問題の原因がネットワーク側なのか、アプリケーション側なのか、端末側なのかを切り分ける判断材料になる。また、技術的な指標をユーザー満足度と結びつけた形で経営層へ報告できるため、システム投資の根拠としても活用されている。現在の複雑化したネットワーク社会において、利用者の視点に立って運用の質を高めるための基盤となっている。