読み方 : ディーシーシーピー

DCCP【Datagram Congestion Control Protocol】

概要

DCCPとは、IPネットワーク上でデータを送受信するためのトランスポート層プロトコルの一つ。接続管理や輻輳制御の仕組みを持ちながら、届かなかったデータの再送は行わない設計で、リアルタイム性を重視する用途を想定している。
DCCPのイメージ画像

トランスポート層で広く使われるプロトコルとして、TCPUDPがある。TCPデータの到達確認と再送を行うため信頼性が高いが、それゆえに遅延が生じやすい。UDPは再送や接続管理を行わないため低遅延だが、ネットワークの混雑を考慮せずにデータを送り続ける。

DCCPはこの二つの中間に位置し、接続の確立・切断は行うが、データの再送は行わない。データが届かなくても再送しないため、通信の遅延を最小限に抑えられる。音声通話や動画ストリーミング、オンラインゲームのように、古いデータを後から受け取るより新しいデータを適時に届けることを優先すべき用途に向いている。

UDPとの大きな違いは、輻輳制御の仕組みを備えている点である。DCCPは通信中にネットワークの混雑状況を監視し、送信速度を自動で調整する。UDPのように制御なしで送信し続けると、混雑時にネットワーク全体の性能を悪化させる恐れがあるが、DCCPはその問題を緩和できる。輻輳制御アルゴリズムは「CCID」(Congestion Control Identifier)という識別子で管理され、TCPに近い方式の「CCID-2」やレート制御方式の「CCID-3」などから用途に応じて選択できる。

DCCPの仕様は2006年にIETFによってRFC 4340として標準化された。Linuxカーネルへの実装など技術的な整備は進んでいるが、普及は限定的である。多くのアプリケーションやネットワーク機器はTCPまたはUDPを前提として設計されており、DCCPの利用は進んでいない。リアルタイム通信の分野ではUDP上で独自の通信制御を行う実装が多い。

(2026.7.9更新)
 
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。