BACnet【Building Automation and Control Networks】
概要

BACnetは、ビルや施設の設備管理システム向けに標準化された通信プロトコルである。空調や照明、防災機器、入退室管理装置といった建物内の各種設備を、メーカーや機種の違いを越えて相互接続、統合管理するための共通規格として策定された。
従来のビル管理システムは、メーカーごとに独自の通信方式を採用していたため、異なるメーカーの機器を組み合わせることが難しかった。BACnetの登場により、仕様が公開された標準規格として相互接続性が確保され、特定のメーカーに縛られることなく機器を選定してシステムを構築できるようになった。
BACnetでは、システム内の設備や各種データを「オブジェクト」と呼ばれる共通の概念で表現する。温度センサーの計測値やスイッチの動作状態なども種類ごとのオブジェクトとして定義され、それぞれに現在値や設定値などの属性を持つ仕組みである。管理用コンピュータは各機器のオブジェクトから情報を取得したり、運転開始・停止などの指示を送ったりでき、設備全体を一つのシステムから操作できる。
通信方式としては、イーサネット(Ethernet)やIPネットワーク、RS-485などに対応しており、用途や規模に応じて選択できる。中でもIPネットワーク上でBACnetを動作させる「BACnet/IP」が広く普及しており、建物内の既存の構内ネットワーク(LAN)インフラを活用したシステム構築や遠隔監視との連携も可能である。
この規格は米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)が中心となって策定し、1995年にASHRAE規格として制定された。その後、「ISO 16484-5」として国際規格にも採用されており、日本国内でも電気設備学会が規格を発行し、標準として普及している。オフィスビルや病院、空港、工場など様々な施設のビルディングオートメーションシステム(BAS:Building Automation System)で採用されている。