読み方 : エーブイアール
AVR
概要
AVRとは、米マイクロチップ・テクノロジー(Microchip Technology)社のマイクロコントローラ製品ブランドの一つ。旧アトメル(Atmel)社を同社が買収して獲得した製品系列で、シンプルな設計と豊富な開発環境により、教育用途から産業機器まで世界的に幅広く採用されている。

RISC(縮小命令セットコンピュータ)設計を採用した8ビットマイコンで、ほとんどの命令を1クロックで実行できる。命令セットはレジスタ間演算を中心に設計されており、処理効率が高い。フラッシュメモリをプログラム格納領域として内蔵しており、書き換えが容易なためプロトタイプ開発や量産品の製造後のファームウェア更新にも対応しやすい。
CPUのほかにフラッシュメモリ、RAM、入出力ポート、タイマ、A/Dコンバータなどの周辺機能をワンチップに集積したマイクロコントローラとして提供され、センサーの読み取りやモーター制御、表示装置の制御など、様々な電子機器の制御処理を比較的少ない部品で開発できる。小型で低消費電力であることから、家電製品、産業機器、組み込みシステムなど幅広い用途で利用されてきた。
AVR製品ファミリーは用途や規模に応じて複数のシリーズに分かれている。最も広く知られる「ATmega」シリーズは中規模の用途向けで、豊富なI/Oポート、UART、SPI、I2Cなどのシリアルインターフェースを内蔵している。より小規模でピン数の少ない「ATtiny」シリーズは省スペースや低コストが求められる用途に向いており、高性能な「AVR Dx」「AVR Ex」「megaAVR」といった新世代シリーズも展開されている。
AVRは産業分野で以前から知られていたが、一般に広く認知されるようになったきっかけとして「Arduino」マイコンボードの人気がある。ArduinoはATmegaシリーズを搭載したワンボードマイコンとして登場し、C言語ベースの使いやすい開発環境を提供したことで電子工作や教育分野に急速に普及した。初心者が最初に触れるマイコンとしてAVRが世界的に認知されるようになった。