読み方 : エーアイスロップ

AIスロップ【AI slop】

AIスロップとは?

生成AIによって大量に作り出された低品質なコンテンツを指す俗語。“slop” は「残飯」「泥水」といった意味の英語で、2024年頃に生成AIの一般利用が急激に広がる中、英語圏のSNSメディアで聞かれるようになり、その後他の言語圏に広まっていった表現である。
AIスロップのイメージ画像

生成AIの普及により、専門知識や制作経験がなくても、文章や画像、音声、動画といったコンテンツを短時間で大量に作れるようになった。その結果、SNSWeb上には、既存情報の寄せ集めに近い文章、誤った事実を含む解説、同じ内容を言葉だけ変えて繰り返した記事などが急増した。画像では、不自然な構図や文脈と合わない要素の混在なども見られる。こうした粗製濫造のAI生成コンテンツをまとめてAIスロップと呼ぶ。

AIスロップが問題とされる背景には、広告収入や政治的な宣伝などを目的とした自動生成記事の大量公開がある。生成AIを使えば特定のキーワードを詰め込んだ記事を数千件、数万件といった規模で容易に制作でき、検索結果の上位がそうした信頼性の低い記事で埋まる事態が生じている。電子書籍プラットフォームで著名人を騙った粗悪な書籍が販売されるなど、消費者が実害を受けるケースも報告されている。

情報の信頼性という面でも深刻な問題がある。生成AIは言葉の統計的なつながりを再現しているだけであり、内容の真偽を判断する能力を持たない。そのため、事実に基づかない内容を真実のように語る「ハルシネーション」(hallucination幻覚)が生じやすく、それが人の確認を経ずに公開されることで誤情報が拡散する。見た目が整っているだけに、受け手が誤りに気づきにくい点が問題を複雑にしている。

2025年頃からはビジネス現場でも生成AIによる文書作成が急激に普及し、業務上の報告書や提案書、企画書などとして質の低いAI生成物が提出されるといった同様の問題が広がった。これを「ワークスロップ」(work slop)という。人間による編集や作り直しが必要となり、却って業務効率が低下するといった本末転倒の事態も生じており、混乱が広がっている。

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。