AIの冬【AI winter】
AI研究はコンピュータが発明された初期の1950年代に始まったが、その歴史は期待と失望の繰り返しだった。研究の進展が注目を集めると資金と人材が集中し、過大な期待が生まれる。しかし、技術的な壁にぶつかって期待通りの成果が得られないと、失望とともに投資が急減して研究が停滞する。この周期的なパターンの中で特に顕著な停滞期が「AIの冬」と呼ばれる。
最初の冬
第一次AIの冬は1970年代に訪れた。1950~60年代のAI研究の黎明期(第一次AIブーム)には、研究者たちが「数十年以内に人間と同等の知性を持つ機械が実現する」という楽観的な予測を示していた。しかし実際には簡単な問題しか解けず、複雑な現実世界の課題への応用が極めて困難であることが明らかになった。1973年にイギリスのライトヒル報告書がAI研究の成果を厳しく批判したことも契機となり、各国政府や研究機関からの資金援助が大幅に削減された。
二度目の冬
第二次AIの冬は1980年代後半から1990年代にかけて到来した。この直前には「エキスパートシステム」と呼ばれる専門知識をルールベースで記述したAIシステムの研究開発が盛んになり(第二次AIブーム)、多くの企業が商業化に乗り出した。しかし、この方式は知識の更新・維持に膨大なコストがかかるうえ、想定外の状況への対応が困難であることが露呈し、期待に見合う成果を上げられなかった。また、当時のコンピュータの処理能力がAI研究の要求に追いつかなかったことも停滞の一因となった。
現在
その後、2000年代以降は機械学習の発展、2010年代にはディープラーニングの台頭によってAI研究は劇的な復活を遂げた(第三次AIブーム)。大量のデータと高性能なGPUの普及が技術的なブレークスルーを後押しし、自然言語処理、画像認識、音声認識などで人間に匹敵する精度が実現された。チャットAIやコーディングエージェントに代表される実用的なサービスも急激に普及しており、今回は一時のブームに終わらずAIが社会システムの不可欠な基盤の一部になるとする予想もある。
