読み方 : はちビットふどうしょうすうてんすう
8ビット浮動小数点数【8-bit floating point number】FP8
概要

浮動小数点数は、小数を含む実数を表現できる数値データ型の一つで、符号部・指数部・仮数部の3つの領域にビットを割り当てて数値を表す。符号部で正負を示し、指数部で桁の大きさを、仮数部で有効な数値を保持する。
8ビット形式では限られたビット数を3つの領域に配分するため、表現できる値の範囲と精度は32ビット形式に比べて大きく制限される。用途に応じて、指数部4ビット・仮数部3ビットとする「E4M3」形式や、指数部5ビット・仮数部2ビットとする「E5M2」形式などのバリエーションがある。前者はやや精度を重視し、後者は表現範囲を広げることを優先している。
以前はあまり用いられなかった形式だが、大規模なニューラルネットワークの演算を効率化するために頻繁に利用されるようになった。ディープラーニングでは膨大な実数の行列計算が繰り返されるが、すべての処理に高い精度が求められるわけではない。8ビット浮動小数点数を用いることでメモリ使用量とデータ転送量を削減でき、プロセッサが一度に処理できるデータ量が増えるため、処理速度の向上や消費電力の抑制に繋がる。
精度の低下が問題になる場合は、重要な演算や最終結果の保持に16ビットの半精度浮動小数点数(FP16)や32ビットの単精度浮動小数点数(FP32)を組み合わせる手法が一般的に採られる。また、「量子化」と呼ばれる補正技術を活用することで、精度の低下による影響を実用上問題のない範囲に抑えられる。近年ではAI処理向けプロセッサやGPUで8ビット浮動小数点数による実数演算をハードウェアレベルで直接サポートする製品が増え、対応するソフトウェア環境の整備も進んでいる。
(2026.7.9更新)