読み方 : にせんよんじゅうごねんもんだい
2045年問題
概要

アメリカの発明家・未来学者であるレイ・カーツワイル(Ray Kurzweil)氏は、2005年の著書に著した『The Singularity Is Near』(邦題:シンギュラリティは近い)の中で、コンピュータの性能が指数関数的に向上し続けるという「収穫加速の法則」に基づき、2045年頃には人工知能が全人類の知能を合わせた水準を超えると予測した。この考え方の背景には、半導体の集積度が18〜24か月ごとに倍増するという経験則「ムーアの法則」に代表される技術進歩の加速がある。
シンギュラリティが到来した場合に想定される変化として語られるのは、AIが自らより高性能なAIを設計・開発するという「自己改善ループ」の始まりである。これが実現すると、人間が制御や予測の及ばない速度でAIの能力が向上し続けるとされる。科学や産業、医療などあらゆる分野での急激な変革が生じる可能性がある一方で、人間の雇用や社会制度、さらには人類の存在そのものへの脅威になりうるという懸念も指摘されている。
一方、この仮説に対して懐疑的な立場も多い。人間の知能が持つ汎用性や創造性を機械で再現することの困難さ、ムーアの法則が物理的限界に近づきつつあること、知能の「量」が単純に比較できるものかという概念上の問題などが反論として挙げられている。
なお、2020年代には大規模言語モデル(LLM)をはじめとする深層学習モデルが人間の知的作業を実際に代替し始めており、AIによるAIの自己改善ループの開始も間近だとする専門家もいる。2045年問題が提唱された頃とは大きく状況が変化しており、2045年どころか2030年代初頭にはシンギュラリティが始まるとする予想もある。