読み方 : かくれマルコフモデル
隠れマルコフモデル【HMM】Hidden Markov Model
概要
隠れマルコフモデルとは、現象を記述する統計モデルの一つで、観測されない状態が時間とともに遷移し、その状態に応じて観測データが生成される過程を表現したもの。状態は直接観測できず、観測系列から背後の状態遷移を推定する。

過去の状態の影響を受けず、現在の状態のみによって次の状態が決まるような性質を「マルコフ性」(Markov property)という。通常のマルコフモデルでは状態そのものが直接観測可能だが、隠れマルコフモデルでは内部の状態遷移は外部から直接見ることができず、観測者は「隠れた状態」から特定の確率で出力される断片的な観測データのみを得ることができる。
モデルを運用する際には、主に三つの課題を解く必要がある。第一に、与えられた観測データが得られる確率を計算する「評価」、第二に、観測データから最も尤もらしい隠れた状態の系列を推定する「復号」、そして第三に、大量のデータからモデルのパラメータを最適化する「学習」である。このそれぞれについて数学的なアルゴリズムが提案されている。
隠れマルコフモデルは音声認識や自然言語処理、生体信号解析、DNA塩基配列の解析などに応用されている。例えば、音声認識において「発話された音素」を隠れた状態、「抽出された音声特徴量」を観測データと見なせば、音のゆらぎを確率的に許容しながら、背後にある音素の並びを推定することが可能になる。