読み方 : ちょうじょう
重畳

通信や信号処理の分野では、1本の回線や周波数帯域に複数の信号を同時に乗せる多重化技術を「重畳」と表現することがある。例えば、電力線通信(PLC)では既存の電力線に通信用の電気信号を重畳して伝送し、別途通信ケーブルを敷設することなくコンセントに接続された機器間でデータをやり取りすることができる。放送の分野では、地上デジタル放送の電波にデータ放送の信号を重畳して送出する仕組みが用いられている。
映像や画像処理の分野では、複数の画像やレイヤーを合成して1つの画面に表示する操作を「重畳」と呼ぶことがある。カーナビやHUD(ヘッドアップディスプレイ)で現実の光景に地図情報や速度データをリアルタイムに重ね合わせて表示する処理や、医療画像においてCTとMRIの画像を位置合わせして重ね合わせる処理などが該当する。AR(拡張現実)も現実映像にデジタル情報を重畳する技術として説明されることが多い。
物理学、特に量子力学の文脈では、波の重ね合わせの原理(superposition)を「重畳」と訳すことがあり、量子コンピュータにおける量子ビットが「0」と「1」の状態を同時にとる「量子重畳」もこの語で表現される。いずれの分野でも専門的な用語の一つとして用いられ、「重ね合わせ」という抽象的な意味は共通しているが分野ごとに具体的な意味や用法は異なるため、文脈をよく確認する必要がある。