読み方 : てきおうがたソフトウェアかいはつ

適応型ソフトウエア開発【ASD】Adaptive Software Development

概要

適応型ソフトウエア開発とは、変化する要件に柔軟に対応することを前提に設計されたソフトウェア開発手法。1990年に提唱された手法で、計画通りの進行よりも継続的な学習と適応を軸に置く点で、従来のウォーターフォール型開発とは異なる立場をとる。
適応型ソフトウエア開発のイメージ画像

適応型ソフトウエア開発の開発サイクルは「投機」(speculate)、「協調」(collaborate)、「学習」(learn)の3フェーズで構成される。最初の「投機」は、従来の「計画」に相当するが、あえて「投機」という語を使うことで、要件や状況が変化することを前提としている。このフェーズではプロジェクトの目標と大まかな反復(イテレーション)の計画を立てる。

次の「協調」フェーズでは、チームメンバーや顧客が緊密に連携しながら実際の開発を進める。最後の「学習」フェーズでは、完成した成果物を検証(レビュー)し、顧客によるフィードバックや技術的な知見をもとに次のサイクルへの改善点を洗い出す。この3フェーズを短い期間で繰り返すことで、変化する要件への対応と品質の向上を図る。

適応型ソフトウエア開発は1999年に著名なソフトウェアエンジニアのジム・ハイスミス(James A. Highsmith III)氏が著書『Adaptive Software Development』(邦題:適応型ソフトウエア開発)により体系化した。複雑系理論の考え方を開発プロセスに取り入れており、ソフトウェア開発を予測可能な線形プロセスではなく、複雑で適応的なシステムとして捉える。

その後、2001年に署名された「アジャイルソフトウェア開発宣言」には同氏も参加しており、以降は適応型ソフトウエア開発もアジャイル開発手法の一つに分類されている。「スクラム」(Scrum)や「エクストリームプログラミング」(XP)と比べると現場での採用事例は少ないとされるが、適応型ソフトウエア開発の概念はアジャイル開発全般の思想的な背景の一つとして重要である。

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。