読み方 : しきべつき

識別器【discriminator】

概要

識別器とは、敵対的生成ネットワークGAN)を構成する2つのニューラルネットワークのうちの片方で、入力されたデータが「本物か偽物か」を判定するモジュールのこと。もう片方の生成器が作り出した偽データを見破る鑑定士のような役割を果たす。
識別器のイメージ画像

ニューラルネットワークを応用した生成モデルであるGANでは、「生成器」(generator)と「識別器」(discriminator)が互いに競い合いながら学習を進める。生成器が本物らしい偽データを作り出そうとする一方、識別器はそのデータが本物のデータセットから来たものか、生成器が作り出した偽物かを見分けようとする。この競争的な関係が両者の性能を同時に高めていく原動力となっている。

識別器の構造は一般的に畳み込みニューラルネットワークCNN)をベースとしており、入力データを受け取って最終的に「0」から「1」の間のスコアを出力する。このスコアが1に近いほど「本物らしい」と判断したことを意味し、0に近いほど「偽物らしい」と判断したことを示す。学習の過程では本物のデータに対しては1を、生成器が作った偽データに対しては0を出力するよう繰り返し調整されていく。

画像生成の分野を例にとると、識別器は大量の本物の写真を学習することで「本物の写真らしさ」の基準を内部に形成する。生成器が精巧な偽画像を生成するたびに識別器はそれを見破ろうと精度を上げ、識別器が賢くなるほど生成器はさらに本物に近い画像を生成しようとする。この繰り返しによって最終的に人間の目では見分けがつかないほど高品質な生成画像が得られるようになる。

学習が理想的に進んだ状態では、識別器は本物と偽物を五分五分でしか判定できなくなる。これは生成器が本物と区別のつかないデータを生成できるようになったことを意味し、GAN全体の学習が収束に近づいたサインとして捉えられる。

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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