読点【、】
読点とは?

読点は文章の途中で意味的な区切りとして置かれるが、読点を打つ位置には厳密な統一規則はなく、書き手の判断や文章の種類によって異なる。置く位置によって文意が大きく変わることがあるため注意が必要である。例えば、「父は一生懸命、練習する息子を応援した」(一生懸命なのは父)と「父は、一生懸命練習する息子を応援した」(一生懸命なのは息子)は、読点の位置が異なるだけで文の意味が異なる。
主語が長い場合や修飾語が連続する場合に読点を打つと、係り受けの範囲が明確になり、読み間違いを防ぐことができる。接続詞や副詞の直後に置くと、文全体の論理的な流れが整いやすい。「ここで、はきものを」と「ここでは、きものを」のように、同じ文字種(漢字・ひらがな・カタカナ)の複数の言葉が連なっているときに、単語の境界を示すために打つ用法もある。
文章の種類によって、読点の使い方は異なる。公用文では意味の切れ目を明確にするための最小限の使用が求められ、法律文書では解釈の揺れを防ぐために慎重に配置される。新聞や雑誌では読みやすさを優先してやや多めに打つ傾向があり、文学作品では作家がリズムや間を演出するために独自の打ち方をすることもある。技術文書や仕様書では、条件の範囲を厳密に定めるために読点の位置が精査される。
なお、文末を示すための記号として「句点」(。)があり、日本語の文章では句点と読点をセットで用いることが多い。ただし、公文書では1950年代に定められた通達で、文中では読点の代わりに「,」(カンマ)、文末に「。」を置く「カンママル」書式が正式とされた。また、理工系の書籍などでは、欧文の書式に則って、読点の代わりに「,」(カンマ)、文末も句点に代えて「.」(ピリオド)とする記法が用いられることがある。
コンピュータによる文字データの処理でも読点が意味を保つ場合がある。自然言語処理や日本語入力システムでは、読点が文節の分割や構文解析の手がかりとして使われる。音声読み上げソフトは読点を「間」の目印として扱い、適切な位置に読点があると聞き手が情報を把握しやすくなる。プログラムのソースコードでは項目の区切り記号などとして日本語の読点ではなく半角のカンマ「,」を使う。
印刷物の組版では、縦書きの場合は文字の右側に、横書きでは下側に読点を配置する。近年ではコンピュータとインターネットの普及で横書きの文章が増えたが、ウィンドウのスクロールやスマートフォンの縦長の画面に合わせて読点を改行で代替する独特な表記法の文章も若い世代を中心に見受けられる。英語など欧米の言語におけるカンマと役割が似ているが、読点は省略しても文が成立する場合が多いなど、完全に同等な役割ではない。