読み方 : せんけいだいすう

線形代数【linear algebra】

概要

線形代数とは、ベクトルや行列などを用いて一次的(比例的)な関係を扱う数学の分野。複数の変数が線形関係(比例関係)にある構造を扱う数学理論の体系で、コンピュータグラフィックス機械学習、統計解析など、ITの広範な分野で計算の基盤として広く応用されている。
線形代数のイメージ画像

線形代数では、複数の数値を縦または横に一列に並べた「ベクトル」(vector)と、数値を格子状に縦横に表形式で並べた「行列」(matrix)が基本的な対象となる。例えば、連立一次方程式は行列とベクトルを用いて表現でき、解の存在や一意性は行列の性質によって判定される。行列の加算や乗算、逆行列の計算などの演算を通じて、問題の解法が整理される。

「ベクトル空間」という概念により、ベクトルの集合に対する演算や構造が定義される。「基底」や「次元」といった概念を用いることで、この空間の構造を簡潔に表現できる。ベクトルを別のベクトルへ写す写像を「線形変換」と呼び、行列によって具体的に表される。「固有値」や「固有ベクトル」は、変換によって方向が変わらない特別なベクトルを表し、行列の性質を解析する手段として用いられる。

線形代数は極めて応用範囲の広い理論であり、物理学、工学、情報処理、数値計算など多くの分野で利用される。例えば、3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)では座標変換や回転、拡大・縮小の計算に行列が用いられ、機械学習ではデータの表現や変換にベクトルや行列の演算が使われる。GPUはベクトルや行列の演算を大規模に並列処理するプロセッサであり、線形代数を応用したシステムの高速化に欠かせない。

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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