読み方 : だいいちじエーアイブーム
第一次AIブーム
概要
第一次AIブームとは、1950年代後半から1960年代にかけて起こった、人工知能研究の最初の活発な発展期。機械によって人間の知的活動を再現できる可能性が注目され、推論や問題解決を行うプログラムの研究が進められた。

1956年に米国で開催された「ダートマス会議」を契機に始まった最初の人工知能研究ブームで、同会議は「人工知能」(Artificial Intelligence)という用語および概念が歴史上初めて提唱されたことで広く知られている。
この時期には、人間の知能を機械によって再現するというコンセプトが掲げられ、論理的推論、学習、言語理解などの知的機能をコンピュータにより実現することが目標とされた。当時は現代的なデジタル方式のコンピュータが現れて間もない時期で、計算の大規模な繰り返しによって人間の思考を模倣できるのではないかという期待が高まっていた。
この時期の研究は主に「記号処理」と呼ばれる考え方に基づいていた。これは人間の思考を論理記号やルールとして表現し、それらをコンピュータで操作することで問題解決を行うという方法である。初歩的な数学の定理証明を自動化するプログラムや、迷路の入口から出口までの経路を探索することができるアルゴリズムが考案され、コンピュータが人間の知的活動の一部を再現できることが示された。
しかし、1960年代後半になると研究の限界が次第に明らかになった。初期のAIは、「トイプロブレム」と呼ばれる単純な例題のような問題は解くことができたが、現実世界の複雑な状況や膨大な知識を必要とする問題に対応することは難しかった。また、当時のコンピュータは現代から見ると計算能力や記憶容量が極めて限られており、言語のような膨大な知識が必要な対象を扱うには技術的制約が大きかった。
このような理由から、初期の期待ほど研究成果が挙げられない状況が続き、資金拠出が縮小されるようになった。第一次AIブームは次第に終息していき、1980年代の第二次AIブームまでAI研究冬の時代を迎えることになる。