読み方 : まどかんすう
窓関数【window function】

音声や電気信号の周波数を調べるために「フーリエ変換」がよく行われるが、無限に続く信号をそのまま扱うことはできないため、一定の区間を切り出して処理することになる。このとき、データをそのままぶつ切りにすると、両端で信号が急激に途切れ、本来は存在しない周波数成分が現れてしまう。この現象は「スペクトル漏れ」と呼ばれ、正確な周波数分析の妨げとなる。
窓関数はこの問題に対処するための関数で、中央では値が大きく、両端に近づくに連れて滑らかにゼロへと減衰する山型の形状をしている。切り出したデータに掛け合わせることで、境界部分の急激な変化を緩和する。時間領域では単純な掛け算として適用されるが、周波数領域では畳み込みとして作用し、窓の形状がスペクトルの広がりや漏れの量に直接影響する。
窓関数にはさまざまな種類があり、用途に応じて使い分ける。「矩形窓」は全区間に均一な重みをかける最もシンプルな形で分解能は高いが、漏れが生じやすい。「ハン窓」や「ハミング窓」は汎用性が高く、「ブラックマン窓」は漏れの抑制に優れるが分解能がやや落ちる。漏れの抑制と分解能の確保はトレードオフの関係にあり、解析対象の性質に合わせた選択が求められる。
窓関数は音声認識、地震波解析、通信工学、医療画像診断など幅広い分野で活用されている。短時間フーリエ変換では信号を細かな区間に分割し、それぞれに窓関数を適用しながら順次解析することで時間的な変化も追跡できる。現在では多くのソフトウェアやライブラリに組み込まれており、利用者が数式を直接扱わずとも恩恵を受けられる環境が整っている。