読み方 : しんくうかん
真空管【vacuum tube】
真空管とは?
電子部品の一種で、ガラスや金属の容器内部を真空にした上で電極を封入し、電子の流れを制御することで電気信号の増幅や整流を行うもの。20世紀序盤の電気機械に広く使われた基本的な素子である。

真空管の動作原理は「熱電子放出」に基づく。フィラメントまたは負極(カソード)と呼ばれる電極を加熱すると、金属表面から電子が放出される。この電子を陽極(アノード)に向けて引き寄せることで電流が生じる。「グリッド」と呼ばれる制御電極に加える電圧をわずかに変化させるだけで、アノードに流れる電流を大きく変動させられるため、微弱な信号を増幅できる。
構造の違いによって種類が分かれる。電極が2つの「二極管」(diode)は整流に用いられ、3つの「三極管」(triode)は増幅や発振に使われた。さらに電極を増やした四極管や五極管もあり、より高い増幅率や安定した動作を実現するために開発された。用途に合わせて多様な形状と特性を持つ製品が製造されてきた。
真空管は1904年にイギリスのジョン・フレミング卿(Sir John A. Fleming)が発明した二極管を起源とし、1906年にアメリカのリー・ド・フォレスト(Lee De Forest)が三極管を開発した。以降、ラジオ受信機、テレビ受像機、電話交換機、初期のコンピュータなど当時の様々な電気製品に採用された。1940年代後半にトランジスタが登場するまで、電子回路の中核を担う部品として機能していた。
トランジスタや集積回路(IC)の普及によって真空管は一般的な電子機器からは姿を消したが、現在でも、高出力のラジオ送信機やレーダー装置では大電力に耐えられる真空管が引き続き使われている。また、オーディオアンプの分野では、真空管特有の音響特性を好む層から根強い支持を受けており、専用製品が今も製造・販売されている。