読み方 : せいせいき
生成器【generator】
概要
生成器とは、敵対的生成ネットワーク(GAN)を構成する2つのニューラルネットワークのうちの片方で、ランダムなノイズデータを入力として受け取り、本物らしい偽データを生成するモジュール。もう片方の識別器を欺くことを目標に学習を進める。

ニューラルネットワークを応用した生成モデルであるGANでは、「生成器」(generator)と「識別器」(discriminator)が互いに競い合いながら学習を進める。生成器は、最初の段階では意味のないランダムなノイズを元に、まったく本物らしくないデータしか生成できないが、識別器からのフィードバックを受けながら学習を繰り返すことで、徐々に本物に近いデータを生成できるようになっていく。
生成器の入力となるランダムなノイズは「潜在ベクトル」と呼ばれ、通常は正規分布や一様分布に従う数値の配列として与えられる。生成器はこの潜在ベクトルを受け取り、内部の層を通じて変換・拡張しながら最終的に画像や音声、テキストなど目的のデータを出力する。画像生成においては「逆畳み込みニューラルネットワーク」(deconvolutional neural network)が用いられることが多い。
学習のプロセスでは、生成器が作り出したデータを識別器に渡し、識別器が「偽物だ」と判定した場合にその誤りの度合いをもとに生成器のパラメータが更新される。生成器は識別器を騙せなかった失敗から学び、より本物らしいデータを生成する方向へと少しずつ改善されていく。生成器は、いわば「精巧な偽物を作る修行中の贋作職人」のような存在である。
生成器の応用範囲は広く、存在しない人物の顔写真の生成、描画スタイルの変換、低解像度画像の高解像度化など、様々な分野で活用されている。特定の潜在ベクトルを操作することで、生成される人物画像の髪色、年齢、表情などの属性を連続的に変化させることも可能であり、生成器が学習した潜在空間の構造が多様な制御を可能にしている。