物理障害【physical failure】
概要

原因としては、磁気ヘッドやプラッタ、モーターといった機械部品の摩耗や破損、制御基板や回路の損傷やショート、配線の断線、SSDにおける制御チップやメモリチップの劣化などがある。落下や水没、高温多湿、静電気、電源異常といった外的要因によって破損・損傷が生じることもある。
症状としては、ハードディスクから「ガリガリ」「カチカチ」といった異音がする、電源を入れても回転音がしない、機器として認識されない、読み書き中にエラーが発生するなどが挙げられる。これらは論理障害でも起こり得るため、外見だけで原因を判別することは難しく、専門的な診断が必要になる場合がある。
物理障害が疑われる場合、通電や再起動を繰り返すと損傷が拡大し、復旧できる可能性が下がることがある。そのため、異常に気づいた時点で装置の使用を停止し、データの書き込みや初期化、修復ツールの実行を避けた上で、専門のデータ復旧業者に相談することが推奨される。個人による分解は状態を悪化させる恐れがあるため避けるべきとされる。
復旧作業では、塵埃の少ない「クリーンルーム」と呼ばれる特別な環境で装置を分解し、損傷した部品を同型の正常な部品と交換した上で内部のデータを直接抽出する手法が採られることが多い。論理障害であれば数日程度で完了する場合もあるが、物理障害は部品の交換や解析に工程を要するため、復旧までに1週間から1か月程度かかることも珍しくない。
RAID構成を採用したストレージシステムでは、複数のディスクにデータを分散・冗長化することで、一台に物理障害が発生してもシステム全体としてのデータ消失を回避できる仕組みが広く採用されている。こうした冗長化の仕組みを備えていない単体の記憶装置や、複数台が同時に故障した場合には、専門業者による復旧作業が必要になる場面も少なくない。機器の経年劣化や予期せぬ外部衝撃を完全に防ぐことは難しいため、別の装置へ日常的にバックアップを作成しておく運用が一般的な対策として広く行われている。