読み方 : かたよせ

片寄せ

片寄せとは?

複数の情報システムを統合する際に、既存の一つのシステムをそのまま存続させ、他のシステムをそこへ集約する移行手法である。企業合併や事業統合の場面でよく用いられる。
片寄せのイメージ画像

企業合併や子会社化が行われると、それぞれの組織が独自に運用してきた基幹システムや業務アプリケーションが併存する状態が生まれ、どのようにシステム統合を行うかが議論となる。統合の手法は大きく分けて、新規システムを開発して旧システムから移行する方式と、既存の一つを残して他のシステムを廃棄する片寄せ型の方式に分かれる。

片寄せでは既存システムのうち一つを「存続系」として選定し、他の「廃止系」のデータや業務プロセスをそこへ移し替える形で統合する。新たなシステムをゼロから設計・開発する必要がないため、短い工期と少ないコストでシステム統合を行うことができる。存続系は既に稼働実績があり知見も蓄積されているため、トラブルも少なく対処も行いやすい。

一方、廃止系の利用者は操作画面や業務フローの変更を強いられるため、現場への影響が大きくなる。廃止系に存在した有用な機能が失われるケースもある。データの形式や業務ルールが両システムで異なる場合、移行前にデータクレンジングやマッピング作業が必要となり、この工程が実務上の難所になることが多い。

存続系の選定にあたっては、処理性能や保守サポートの継続可否、カスタマイズの拡張性といった技術的評価に加え、利用者数の多寡や将来の事業方針との整合性なども考慮される。必ずしも技術的に優れたシステムが存続系に選ばれるわけではなく、組織内の力関係や移行コストの試算が判断を左右する場面もある。

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。