読み方 : じゅんどうけいあんごう
準同型暗号【homomorphic encryption】
準同型暗号とは?

通常の暗号方式では、計算や検索などの処理を行う際に一度復号して平文に戻す必要があり、その過程で情報漏洩の危険が生じる。準同型暗号では、暗号文のまま加算や乗算などの演算を実行でき、復号後に得られる値は平文に同じ演算を施した結果と一致する。
例えば、二つの数値を暗号化した後に暗号文同士を加算すると、その結果を復号した値は元の数値の和になる。この性質は、暗号文同士の演算が平文の演算に対応する「準同型性」(homomorphism)と呼ばれる数学的構造に基づいている。処理を行う側が内容を知らなくても統計計算や分析を実行できる。
準同型暗号は実現できる演算の範囲により、加算または乗算のいずれか一方のみを許す「部分準同型暗号」(PHE:Partially Homomorphic Encryption)と、加算・乗算の両方を回数制限なく行える「完全準同型暗号」(FHE:Fully Homomorphic Encryption)に分類される。
完全準同型暗号は理論上あらゆる計算を暗号文のまま実行できるが、計算量は平文の場合より大きくなるため、適用場面は限定的である。近年では、計算効率の改善や専用ライブラリの整備が進み、クラウド上での機密データ分析、医療における診療データの統計解析、機械学習における機密データの安全な学習などの用途で研究と実証が進められている。