読み方 : えきしんれいきゃく
液浸冷却【immersion cooling】

従来のデータセンターでは、大型空調機器で冷気をサーバラックに送り込む空冷方式が主流であったが、CPUやGPUの発熱量が増大するにつれて冷却効率の限界が課題となってきた。液浸冷却はこの問題に対応するために実用化が進んだ方式で、熱伝導率が空気よりも格段に高い液体を冷媒として使用することで、発熱部品から効率よく熱を奪う。
大きく分けて「単相式」と「二相式」の二方式がある。単相式は液体が気化せず液体のまま循環する方式で、鉱物油や合成油、フッ素系不活性液体などが冷媒として使われる。サーバを槽(タンク)に沈め、ポンプで冷媒を循環させながら外部の熱交換器で冷却する構造が一般的である。二相式はエアコンと同じように冷媒が発熱部品の熱で蒸発し、上部で凝縮して液体に戻る「相変化」現象を利用する方式で、より高い冷却効率が得られる反面、冷媒の管理コストが高い。
電子回路が直に冷媒に触れる方式であるため、冷媒の選定では電気絶縁性が不可欠であり、金属部品を腐食しないことや引火点の高さも条件となる。フッ素系液体はこれらの条件を満たすが単価が高く、鉱物油は低コストである一方でメンテナンス時の作業性に課題がある。
データセンターの消費電力効率を示す「PUE」(Power Usage Effectiveness)指標の観点では、液浸冷却を採用したデータセンターは1.03前後を達成する事例もあり、空冷主体の施設と比べて冷却設備の電力消費を大幅に削減できる。AIモデルの学習や高密度GPU計算の需要拡大を背景に、大手クラウド事業者やスーパーコンピュータ施設での導入事例が増加している。