正弦波【sine wave】sinusoidal wave
正弦波とは?
数学の三角関数である正弦(sin)関数が描く、なめらかに山と谷を繰り返す波形。横軸を時間、縦軸を電圧や音圧などの大きさとしたグラフで見ると、一定の周期で上下に揺れる滑らかな曲線として現れる。

この波形は、「振幅」「周波数」「位相」という三つの要素で性質が決まる。振幅は波の高さで、音では音量、電気では電圧の大きさに対応する。周波数は1秒間に波が繰り返される回数で、単位は「ヘルツ」(Hz)である。周波数が高い音は高音として聞こえ、低い場合は低音となる。位相は他の波との時間的なずれを示す。これら三つの値を変えることで、様々な正弦波を表現できる。
自然界には正弦波として記述できる現象が数多く存在する。振り子の揺れ、弦の振動、光(電磁波)などは理想的な状態ではいずれも正弦波で近似できる。家庭のコンセントから供給される交流電力も正弦波の電圧変化をもつ。日本では50Hzまたは60Hzの交流が使われているが、これは発電機の構造上、自然に正弦波が生成されることによる。
正弦波には数学的に扱いやすい性質がある。微分しても積分しても、位相が変わるだけで同じ正弦波の形を保つ。この性質により、電気回路に正弦波を入力すると出力も正弦波のまま増幅・遅延されるため、回路の特性を解析しやすい。このような周波数ごとの応答特性を調べる手法を「周波数応答」と呼ぶ。
複雑な形の波であっても、異なる周波数と振幅をもつ複数の正弦波を重ね合わせることで表現できる。この原理を「フーリエ解析」といい、音声圧縮、画像処理、無線通信の変調など、現代のデジタル信号処理の根幹をなしている。楽器の音や人の声が持つ音色の違いも、正弦波の重なり方の違いとして説明できる。テレビやラジオ、携帯電話、Wi-Fiなどの放送・通信技術でも、正弦波の振幅や周波数、位相を変化させることで情報を伝送している。