読み方 : ひょうじゅんせいきぶんぷ
標準正規分布【standard normal distribution】

正規分布は、データが平均値を中心に左右対称の釣り鐘型に広がる確率分布で、身長や試験の点数、測定誤差など、自然界や社会現象に現れるデータの多くがこの形状に従う。ただし、正規分布は平均や標準偏差の値によって形や位置が変わるため、単位や基準が異なるデータ同士をそのまま比較することはできない。
そこで、あらゆる正規分布を平均0、標準偏差1に統一した形に変換したものが標準正規分布である。この変換を「標準化」と呼ぶ。元のデータから平均を引き、標準偏差で割ることで、変換後の値(z値)が得られる。z値は、元のデータが平均からどれだけ離れているかを標準偏差の単位で示した数値である。z値が0なら平均と同じ位置、正の値なら平均より高く、負の値なら平均より低いことを意味する。異なる試験の点数や異なる集団のデータも、標準化すれば同じ尺度で比較できるようになる。
標準正規分布では、z値が−1から+1の範囲にデータ全体の約68%が、−2から+2の範囲に約95%が、−3から+3の範囲に約99.7%が収まる。この性質から、ある値が通常の範囲にあるのか、それとも稀な外れ値に当たるのかを数値で判断できる。グラフの全体の面積は1として扱われ、特定の範囲の面積がそのままその範囲内にデータが収まる確率を表す。
統計的な推測でも標準正規分布が基準として使われる。仮説検定では、観測された結果が偶然によるものか意味のある差異かを判定するために、z値と正規分布表を組み合わせて確率を求める。信頼区間の計算でも同様の手順が用いられる。なお、学力テストによるランク分けに用いられる「偏差値」も、z値を「z×10+50」に変換したものであり、標準正規分布の考え方を応用した指標である。