読み方 : ききゃくいき

棄却域【rejection region】clitical region

概要

棄却域とは統計的仮説検定において、検定統計量がその範囲に入った場合に帰無仮説を棄却すると判断される値の範囲のこと。仮説検定では帰無仮説を立てた上で検定統計量を計算し、その値が棄却域に含まれるかどうかによって、仮説を棄却するか否かを判断する。
棄却域のイメージ画像

仮説検定では、まず「差はない」「効果はない」といった内容の「帰無仮説」を立て、標本データから検定統計量を計算する。この値が棄却域に含まれていれば帰無仮説は棄却され、対立仮説(本来主張したい仮説)が採択される。含まれていない場合、その領域は「採択域」と呼ばれる。

棄却域の範囲は、あらかじめ設定される「有意水準」に基づいて決定される。有意水準とは、帰無仮説が正しいにも関わらず誤って棄却してしまう確率の上限値であり、5%や1%といった小さな値が用いられるのが一般的である。有意水準を5%とした場合、帰無仮説のもとで検定統計量が棄却域に入る確率が5%以下になるよう、棄却域が設定される。

棄却域の境界となる値は「棄却限界値」と呼ばれる。片側検定では棄却限界値は1つ、両側検定では2つ設定される。両側検定の場合、分布の両端に棄却域が設けられ、検定統計量が極端に大きい場合と小さい場合の双方で帰無仮説が棄却される。片側検定では、あらかじめ定めた方向の片端のみに棄却域が設定される。例えば「平均値が基準値より大きい」という対立仮説であれば右側に、「小さい」という対立仮説であれば左側に棄却域が設定される。

検定統計量が棄却域に入ったとしても、それによって帰無仮説の誤りが数学的に証明されたわけではない。帰無仮説が正しいと仮定した場合でも、検定統計量が棄却域に入る確率は有意水準として一定の割合で見込まれているためである。同様に、棄却域に入らなかった場合も、帰無仮説が正しいと証明されたことにはならず、棄却するだけの根拠が得られなかったことを意味するに留まる。

近年の統計解析では、棄却域との比較に代えて、観測結果から算出したp値を有意水準と比較する方法も広く用いられている。p値は、帰無仮説のもとで検定統計量がその値以上に極端な値をとる確率として定義され、この値が有意水準を下回る場合に帰無仮説が棄却される。棄却域とp値は、算出の手順こそ異なるものの、同一の判断結果を導く関係にある。

(2026.8.28更新)
 
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。