推論モデル【reasoning model】リーズニングモデル
概要

従来のAIモデルは、入力された文章に続く言葉を確率的に予測して応答を組み立てる仕組みであった。単純な質問応答や文章作成では高い性能を発揮する一方、途中経過を飛ばして誤った結論に達しやすいという弱さがあった。
推論モデルは、回答を出力する前に思考の途中経過を自ら生成し、問題を細かな要素に分解して検討する。矛盾がないかを確認しながら複数の解法を比較する過程を経ることで、論理パズルや高度な数式の計算など難解な課題でも正答率を高めやすくなる。
処理の途中で思考を重ねる仕組み上、回答が返るまでに一定の待ち時間が生じ、消費する計算資源や利用料金も通常のモデルより増えやすい。即答性が求められる日常会話や簡単な要約などの課題には従来型のモデルが使い、難しい課題や精度が最優先される場面で推論モデルを選択するといった使い分けが行われる。
推論モデルおよびその中核となる「リーズニング」(reasoning)という考え方が広く知られるようになったのは、2024年9月に米オープンAI(OpenAI)社が「OpenAI o1」を発表したことがきっかけとされる。これ以降、GeminiやClaude、DeepSeekなど他社モデルも同様の仕組みを取り入れるようになり、2025年から2026年にかけて主要なAIサービスの多くに推論モデルが組み込まれるようになった。
学習済みのパラメータを増やすだけでは高度な論理的思考力の獲得に限界が見え始めた状況の中、自身の中間的な出力を繰り返し入力することで回答精度を高めていく手法の登場は驚きを持って受け止められた。現在では多くのモデルにリーズニング機能が標準で組み込まれれ、利用者が推論の深さを指定できるようになっている。応答速度と精度のどちらを優先するかを用途に応じて柔軟に選べるようになっている。