情報流通プラットフォーム対処法【情プラ法】
概要
正式名称は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」で、通称は「情報流通プラットフォーム対処法」、略称は「情プラ法」である。2001年に制定された「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(通称:プロバイダ責任法)が2024年に改正されて名称が変更されたもので、ほとんどの条文は旧法と共通している。
特定電気通信役務提供者
この法律は主に、利用者にネット上で情報発信できる環境を提供している「特定電気通信役務提供者」に適用される。これには、インターネットサービスプロバイダや、Webサイトの公開・運用を請け負う事業者(クラウド事業者やブログサービス事業者など)、電子掲示板(BBS)やSNSの運営者などが含まれる。営利事業か否かの区別もなく、状況によっては大学や公的機関、個人などが該当する場合もある。
事業者の負う責任
ネットサービス上で著作権侵害や名誉毀損、プライバシー侵害などが発生した際のネット事業者の賠償責任を、一定の条件を満たした場合に免責するよう定めている。
ある情報の流通について権利が侵害されたと主張する者が現れた場合に、当該情報の流通を止めなかった責任について、事業者自身が発信者ではなく、差し止めが技術的に不可能である、権利侵害であると知らなかったといった条件を満たした場合に免責される。
逆に、権利侵害の申告を受けて情報の流通を止めた場合に発信者側に生じた損害について、停止措置が必要最低限であり、権利侵害を疑う十分な理由があった場合に免責される。また、選挙運動期間中の候補者や政党などについての情報の差し止めや、いわゆるリベンジポルノ法に基づく情報発信の差し止めについては、発信者に生じた損害について事業者は免責される。
発信者情報の開示
権利侵害事案の発信者情報の開示について一定の基準を定めている。権利侵害を受けたと主張する側は、当該情報による権利侵害が明らかである証拠があり、差し止めや賠償の請求などを行うために発信者情報が必要である場合に、事業者に発信者情報の開示を請求できる。
事業者側は可能な限り発信者に意見の聴取を行い、請求者の訴えが正当であると認められる場合は発信者の情報を開示する。発信者の情報を開示しなかったことで請求者側に生じた損害について、事業者自身が発信者ではなく、故意や重い過失ではない場合には賠償責任が免責される。
開示の対象となる発信者情報は、発信者の氏名、住所、メールアドレス、アカウント名などのログイン情報、当該情報送信時のIPアドレス、当該情報の送信日時などで、事業者側はこれらの情報を取得して保管しておかなければならない。具体的な手続きや判断基準は総務省の発行するガイドラインに基づいて行われている。
大規模事業者への追加規制
旧プロバイダ責任法との最大の違いとして、社会的影響力の大きい「大規模特定電気通信役務提供者」に指定された事業者に特別な義務が課される点がある。利用者などが一定の規模を超えた事業者に対し、情報の削除基準の策定と公表、削除を申し立てる受付窓口を設置することなどを求めている。
詳細な指定基準は総務省令で定められ、同省が個別に該当するサービスを指定している。2025年春から指定が始まり、現在までに、X(旧Twitter/米X社)、YouTube(米Google社)、Yahoo! JAPAN(LINEヤフー)、LINE(同)、Facebook(米Meta Platforms社)、Instagram(同)、Threads(同)、TikTok(中国ByteDance社)、ニコニコ(ドワンゴ)、Pinterest(米Pinterest社)、Amebaブログ(サイバーエージェント)、爆サイ.com(湘南西武ホーム)が指定されている。
