読み方 : ゆうどひけんてい
尤度比検定【LRT】Likelihood Ratio Test
概要

「尤度」(likelihood)とは、観測されたデータが、想定した確率モデルのもとでどれだけ起こりやすいかを表す値である。この尤度が最大になるようなモデルのパラメータを求める手法が「最尤推定」であり、尤度比検定は最尤推定の結果を仮説の検証に応用したものといえる。
具体的には、まず帰無仮説に沿ってパラメータを制限したモデルの尤度の最大値(L0)を求める。次に制約を設けないモデルの尤度の最大値(L1)を求め、両者の比(L0/L1)を算出する。制約付きモデルは制約なしモデルの特殊な場合であるため、通常L0はL1以下となり、この比が1からどれだけ離れているかによって、制約を課した仮説がデータにどの程度整合しているかを判断できる。
実際の検定では、尤度比そのものではなく、その対数を用いた統計量(-2logλ)が用いられることが多い。この値は一定の条件下でカイ二乗分布に近似的に従うため、算出した統計量をカイ二乗分布の値と照合し、有意水準と比べることで仮説を棄却するかどうかを判定する。統計量の値が大きいほど、制約付きモデルと制約なしモデルとの適合度の差が大きく、仮説がデータと整合しにくいことを示す。
計算には数値最適化が必要になる場合があり、実際には統計解析ソフトウェアが用いられることが多い。尤度比検定は、確率分布のパラメータに関する仮説の検証だけでなく、複数の統計モデルの比較にも利用される。より多くのパラメータを持つモデルと、それらに制約を加えた単純なモデルを比較することで、追加したパラメータがデータの説明に必要かどうかを検討する用途にも用いられる。二つの集団のパラメータが等しいかどうかを調べる場合など、応用範囲は統計解析やデータ分析、機械学習のモデル評価など様々な分野に及ぶ。
(2026.8.28更新)