読み方 : ただんちゅうしゅつ

多段抽出【multi-stage sampling】

多段抽出とは?

統計調査における標本抽出の手法の一つで、母集団から標本を取り出す際に、複数の段階を経て対象を絞り込んでいく方式。最初に大きな単位を選び、その中からさらに小さな単位を選ぶという操作を繰り返し、最終的な調査対象を決定する。
多段抽出のイメージ画像

例えば、全国規模の調査を行う際、まず都道府県や市区町村を無作為に選び、次にその中から町・丁目や地区を選び、最終的に世帯や個人を選定するといった手順をたどる。段階の数に応じて「二段抽出」「三段抽出」などと呼ばれることもある。各段階で単純無作為抽出層化抽出など、異なる抽出法を組み合わせることもできる。

この手法が採用される主な理由は、調査コストの削減にある。母集団全体から直接個人を無作為に選ぼうとすると、対象者全員のリストを事前に整備する必要があり、面接調査では移動負担も大きくなる。多段抽出では各段階で必要な範囲のリストだけを用意すればよく、調査員も選定された地域内で効率的に活動できる。

一方で、抽出段階が増えるほど標本誤差が累積しやすくなる。同じ地域や集団から選ばれた対象は互いに似た性質を持ちやすく、標本が母集団全体を均等に反映しにくくなるためである。この影響を数値として表したものを「デザイン効果」と呼び、分析の段階で補正が必要になることがある。誤差を抑えるには、各段階での抽出数を増やすか、抽出法を工夫するといった対応が求められる。

国勢調査や世論調査、学術研究など、広範囲かつ大規模な対象を扱う調査では、多段抽出が広く採用されている。予算や期間の制約から全数調査単純無作為抽出の実施が困難な場面において、一定の精度を保ちながら現実的な規模で調査を遂行できる手法として普及している。

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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