読み方 : たすうけつかいろ
多数決回路【majority circuit】
概要
多数決回路とは、複数の入力信号のうち過半数を占める値をそのまま出力する論理回路。多くは入力数を奇数とし、多数派が必ず一意に定まるようにする。3入力であれば、2個以上が「1」なら出力は「1」、2個以上が「0」なら出力は「0」となる。

3入力の場合、入力をA、B、Cとすると、AとB、AとC、BとCの組み合わせごとにAND演算を行い、その結果をOR演算でまとめることで実現できる。論理式では「Y=AB+AC+BC」と表され、二つ以上の入力が一致すればいずれかの項が「1」になる。
真理値表を用いてすべての入力パターンに対応する出力を整理し、そこから論理式を導く手順が一般的である。この考え方は多数決回路単体に留まらず、二進数の加算を行う全加算器にも応用されている。全加算器の桁上げを求める部分の論理式は、3入力多数決回路の論理式と一致する。
多数決回路の代表的な用途は、システムの信頼性を高める冗長設計である。同じ処理を行う回路や装置を複数用意し、それぞれの出力を多数決回路にかけることで、一部に故障や誤動作が生じても残りの多数派の値を採用し、正しい結果を維持できる。このような手法は「N重冗長化」(Nは用意する系統の数)と呼ばれ、航空機や宇宙機の制御システム、高信頼性が求められるサーバ群、誤り訂正符号の処理装置などで採用されている。ハードウェアの経年劣化や放射線ノイズによるデータ化けの検出・補正にも役立てられている。
デジタル回路の教育においても、多数決回路は真理値表からブール代数を用いて論理式を導き、AND回路とOR回路の組み合わせに変換して回路図を作る一連の設計プロセスを学ぶ題材として取り上げられる。入力数が少なく仕組みを理解しやすい一方で、論理式の簡略化や他の回路との関連性を学べるため、基礎から応用への橋渡しとなる教材として扱われている。
(2026.8.31更新)