読み方 : こていでんわ

固定電話【landline phone】

固定電話とは?

建物に設置された回線に接続して特定の場所で利用する電話サービスおよび電話機のこと。移動しながら使用できる携帯電話とは異なり、端末が物理的な通信線に固定されており、家庭や事業所に据え置いて運用される。
固定電話のイメージ画像

日本では明治時代中期に始まった有線の音声通話サービスで、従来方式では電話局から各契約者宅内まで銅線ケーブル(電話線)を引き込み、音声をアナログ電気信号に変換して送受信する。電話局から回線を通じて微弱な電力が供給されるため、一部の電話機では停電時でも通話でき、災害時の連絡手段としても有用だった。

近年では光ファイバー回線を用いたIP電話方式への移行が進んでいる。IP電話では音声がデジタルデータに変換され、データ回線を通じて送受信される。インターネット接続用の回線を共用するため料金やインフラ敷設・維持コストを抑えることができ、日本ではNTTが積極的にアナログ回線からIP網への移行を進めている。

固定電話の電話番号は、国番号、市外局番、市内局番、加入者番号の4要素(国内では国番号を「0」で置き換えた3要素)で構成されており、発信元のおおよその地域を示す体系となっている。この番号が設置場所の住所と紐づいていることから、官公庁や金融機関などの各種手続きにおいて所在確認や本人確認の情報の一つとしても利用されてきた。

企業や官公庁などの組織では、構内交換機PBX)による内線電話や外線からの着信振り分け、転送なども行われている。一つの代表番号を構内の複数の電話機で共有できるため、組織的な電話応対が可能となる。また、ファクシミリFAX)や各種設備と連動した通報装置など、音声通話以外の用途にも固定電話が使われてきた。

なお、電話は1980年代まで固定回線しか存在しなかったため、固定電話のことを単に「電話」と呼んでいた。「固定電話」という呼称が用いられるようになったのは、携帯電話が普及し始め、従来の固定回線電話を携帯電話と区別する必要が生じた1990年代以降のことである。このように、後から別の方式が生み出され、従来の方式を区別するために新たに付けられた名前を「レトロニム」(retronym)という。

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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