因子分析【factor analysis】

観測変数同士に強い相関があるとき、そこには何らかの共通する要因が働いていると考えられる。因子分析ではこの要因を「共通因子」として抽出し、多数の変数をより少ない概念で説明する。例えば、国語と英語の成績、数学と理科の成績にそれぞれ強い相関が見られる場合、背後に言語能力、数理的能力という2つの共通因子が存在すると推測できる。
各観測変数が共通因子からどの程度の影響を受けているかを示す数値を「因子負荷量」と呼び、値が大きいほどその変数と因子の結びつきが強いことを意味する。一方、共通因子だけでは説明できない、変数固有の変動や誤差は「独自因子」として扱われる。因子の推定には最尤法や主因子法などが用いられ、SPSSやRといった統計ソフトで計算するのが一般的である。
似た手法に「主成分分析」(PCA:Principal Component Analysis)があるが、目的が異なる。主成分分析は多数の変数を少数の合成変数にまとめ、元の情報をなるべく損なわずに圧縮することを重視する手法である。これに対し因子分析は、観測データの相関を生み出している潜在的な要因そのものを推定することを目的とする。データの圧縮が目的であれば主成分分析、概念や性質の構造を明らかにしたい場合には因子分析が選ばれる。
因子分析は20世紀初頭、心理学者チャールズ・スピアマン(Charles E. Spearman)が知能の構造を研究する過程で考案した手法である。心理検査や性格テストの開発を通じて発展し、現在ではマーケティングにおける顧客満足度やブランドイメージの分析、社会調査における意識構造の把握など、様々な分野で活用されている。実際の分析では、変数間の相関の程度を確認したうえで因子数を決定し、因子を抽出した後に「回転」と呼ばれる処理を行って結果を解釈しやすい形に整えるという手順が採られる。