読み方 : めいだいろんり

命題論理【propositional logic】

命題論理とは?

「真」(true)か「偽」(false)かのどちらかに定まる文(命題)を記号で表し、それらを論理演算子で結びつけることで推論の正しさを形式的に分析する論理体系。
命題論理のイメージ画像

命題とは、真偽を客観的に判定できる文のことである。「東京は日本の首都である」「2は偶数である」のような宣言的な文が命題にあたる。一方、「この部屋は広い」のように主観によって真偽が変わる文や、疑問文、命令文などは命題とはみなさない。命題論理では、各命題の具体的な意味内容には立ち入らず、記号として抽象化した上で扱う。

複数の命題は「かつ」(and)、「または」(or)、「ならば」(if-then)、「でない」(not)といった論理演算子で結合され、より複雑な複合命題を形成する。「かつ」は両方が真のときのみ全体が真になり、「または」はどちらか一方でも真なら全体が真になる。「ならば」は前の命題が真で後の命題が偽のときだけ全体が偽になる。複合命題の真偽は構成要素の真偽と演算子の規則だけで機械的に決まり、そのすべての組み合わせを一覧にしたものを「真理値表」という。

命題論理における推論の妥当性は、前提がすべて真のとき結論も必ず真になるかどうかで判断される。これは直感や経験則によらず、記号の操作規則に従って厳密に検証することができる。思考の偏りや誤りを排除し、一貫した論理的な議論を展開する手段となる。

コンピュータ科学においても命題論理は広く応用されている。デジタル回路を構成する論理ゲートは、真・偽を電圧の高・低に対応させることで演算を行っており、ANDゲートORゲートNOTゲートは、論理積論理和論理否定をそれぞれ回路として実現したものである。プログラム条件分岐論理式の簡約による回路の最適化も、この体系に基づいている。

命題論理には表現力の限界もある。「すべての人間は死ぬ」「ある素数は偶数である」のように「すべて」や「ある」を含む文の内部構造は分析できない。こうした量に関わる推論を扱うには、「述語論理」と呼ばれる、より発展的な論理体系が必要となる。

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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