分散分析【analysis of variance】ANOVA
概要

複数の集団の平均値を比較する際、単純に数値の大小を見るだけでは、その差が偶然生じたものか、何らかの理由があるのか判断できない。分散分析は、全体のバラつきを「集団間のバラつき」と「集団内のバラつき」に分解し、両者の比率を算出することで差の有無を評価する。
2つの集団を比較する場合はt検定が用いられるが、3つ以上の集団に対して2つずつの比較を繰り返すと、誤って「差あり」と判定してしまう確率が高まってしまう。分散分析を用いれば、複数の集団を一度の解析で比較でき、誤判定を避けられる。実務上、多数の候補を比較する場面での大きな利点である。
分析の枠組みは、扱う要因の数によって分類される。要因が1つの場合は「一元配置分散分析」、要因が2つ以上の場合は「多元配置分散分析」と呼ばれる。後者では、各要因が単独で与える影響に加え、要因同士が組み合わさることで生じる相乗効果(交互作用)も同時に調べられる。同じ対象を条件を変えて繰り返し測定する場合には、同じ対象の各回における対応関係を考慮した「対応のある分散分析」が用いられる。
分散分析を適用する際には、各集団の観測値が互いに独立していることや、各集団が概ね正規分布に従うこと、各集団の分散がほぼ等しいことなどが前提とされる場合が多い。これらの条件が大きく崩れている場合は、結果の解釈に注意が必要となる。なお、分散分析によって差があると判定されても、どの集団同士に差があるかまでは分からないため、「多重比較」と呼ばれる追加の検定を組み合わせて特定する必要がある。
心理学や医学、農学、教育学などの分野で古くから利用されてきた統計手法であり、実験計画法とも密接に関わっている。近年ではExcelの分析ツールやR言語、Python、SPSSなどを用いて容易に計算できる環境が整っており、WebサイトのA/Bテストの拡張や、複数の機械学習モデルの性能比較などにも応用されている。