読み方 : ぜんへいほうわ
全平方和【total sum of squares】総平方和
概要

あるデータ集合のばらつきを測るとき、各値と平均値との差は平均より大きい値では正、小さい値では負となるため、単純にそのまま合計すると正負が打ち消し合って実際よりも小さく評価されてしまう。そこで、差を二乗してから合計したものが全平方和である。
二乗することで、すべての値が正になるため、すべての値のばらつきを反映した一つの数値にまとめることができる。データの件数が多いほど、また平均値から外れた極端な値が含まれるほど、全平方和の値は大きくなる。平均から離れるほど寄与が大きくなるため、傾向から大きく外れた「外れ値」の影響を強く受ける点に注意が必要である。
回帰分析では、全平方和はデータ全体の変動量を表す基準として参照される。回帰式によって説明できる変動量を「回帰平方和」、説明できずに残る変動量を「残差平方和」と呼び、「全平方和 = 回帰平方和 + 残差平方和」という関係が成り立つ。この分解をもとに算出されるのが「決定係数」(R²)であり、全平方和に占める回帰平方和の割合として定義される。決定係数が1に近いほどモデルの当てはまりがよく、0に近いほど説明力が低い。
分散分析(ANOVA)においても、全平方和を「群間平方和」と「群内平方和」に分解することで、複数グループ間の差が統計的に有意かどうかを検定する。それぞれの平方和を対応する自由度で割って不偏分散を求め、その比(F値)によって、グループ間の違いが偶然のばらつきを超えているかを判断する。なお、分散は全平方和を自由度で割った値であり、データ数が異なる集団同士でもばらつきを比較できるよう標準化したものである。
(2026.7.20更新)