読み方 : らんすうひょう
乱数表【random number table】
乱数表とは?
0から9までの数字を規則性なく並べた表のこと。統計調査や科学実験において、対象を偏りなく選ぶ際に用いられる道具で、人間の主観や無意識の癖が結果に影響しないよう、機械的な手順を提供する。

まず選択対象に番号を割り当て、乱数表の中の任意の位置を出発点として決める。そこから上下左右のあらかじめ決めた方向へ数字を読み取り、対応する番号の対象を選んでいく。例えば、100人の名簿から無作為に選ぶ場合は、「00」から「99」の番号を割り当て、乱数表から2桁ずつ読み取ればよい。読み方のルールを事前に定めておくことで、恣意的な選択を完全に排除できる。
コンピュータが普及する以前、乱数表は統計・科学の現場で欠かせない印刷物であった。1927年にはイギリスの統計学者L.H.C.ティペットが人口統計データから最初の体系的な乱数表を作成し、1955年にはアメリカのランド研究所が100万個の乱数を収録した表を刊行した。
現在ではコンピュータが一定のアルゴリズムに基づいて「疑似乱数」を高速生成することができるため、紙の乱数表が実務で使われる機会は減っている。疑似乱数は計算式で生成されるため厳密には条件が揃えば再現可能だが、実用上は十分に予測困難であり、乱数と同等に扱うことができる。
暗号や情報セキュリティの分野では、疑似乱数よりも高い不規則性が求められる場合がある。放射性物質の崩壊や電子回路のノイズといった物理現象を利用して「真の乱数」を生成する装置もあり、これは乱数表が体現してきた「予測不可能な数列」という原則を別の形で受け継いでいる。
教育現場では今でも乱数表が使われることがある。標本調査や確率の学習で、コンピュータを使う前に手作業で乱数表を引いて無作為抽出を体験することで、その概念と手順を具体的に理解できるからである。試験や演習で電子機器を使わずに済む点も、教材として継続して使われる理由の一つである。