ロックダウンモード【lockdown mode】
ロックダウンモードとは?

有効にすると、攻撃者が侵入経路として悪用しやすい機能が意図的に制限される。メッセージアプリでは画像以外の添付ファイルの受信がブロックされ、リンクのプレビュー表示も停止する。SafariではJavaScriptの一部処理が無効化され、Webサイトの表示が不完全になることがある。FaceTimeは過去に連絡を取ったことのない相手からの着信を自動遮断し、新たな構成プロファイルのインストールも受け付けない。
外部機器との接続についても制限が加わる。USBなどの有線接続は、端末のロックが解除された状態で利用者が明示的に許可しない限りデータ通信を行わない。これにより、物理的なアクセスを伴う侵入手段にも耐性を持たせている。設定後は再起動が必要で、動作中はロック画面にその旨が表示される。
設定は「プライバシーとセキュリティ」から利用者自身が操作でき、解除も同様に任意で行える。一部のWebサイトや連絡先については例外登録も可能である。ただし、日常的な使用では操作性や閲覧体験に大きな支障が生じるため、同社は一般利用者による常用は推奨していない。特定の状況下で一時的に使用する、追加的な防御手段と位置付けられている。
このモードが必要とされる背景には、「ゼロクリック攻撃」と呼ばれる脅威の存在がある。これは利用者が何も操作しなくても端末へ侵入できる手口で、「Pegasus」のような商業スパイウェアが実際に悪用した事例が確認されている。通常のセキュリティ対策では防ぎきれない、こうした高度な攻撃に備えて、機能の利便性よりも安全性を優先する仕組みとして導入された。