リバースオークション【reverse auction】逆オークション
概要

企業間取引における調達では、買い手が製品やサービスの仕様、数量、納期などをあらかじめ示し、参加事業者が見積価格を提示する。インターネット上の専用システムを使い、制限時間内に他社の提示額を見ながらリアルタイムで価格を競り下げていく形態が一般的である。公共工事の入札などにも近い取引構造と言える。
ただし、必ずしも最低価格だけで落札者が決まるとは限らない。品質や納期、供給能力、保守・サポート体制などを含めて評価し、価格と品質を合わせた総合的な条件で事業者を選ぶ場合もある。同じ条件のもとで複数のサプライヤーから見積もりを集められるため、担当者の交渉力や業界内の慣習に左右されにくい形で調達コストを削減しやすいという利点もある。
単に見積もりを取り寄せる「相見積もり」と混同されやすいが、複数の売り手が同時にリアルタイムで価格を競り下げる点で異なる。企業間の購買システムや電子調達システムの一機能として組み込まれる例も多く、公共機関や大学、道路会社などの物品調達でも採用が進んでいる。参加には事前に資格審査を経た登録が必要な場合が多く、調達コストの削減と価格交渉プロセスの透明化を目的として運用されている。
この方式が世界的に注目されたきっかけの一つに、1990年代末に米プライスライン(Priceline.com)社が展開した消費者向けサービスがある。利用者が航空券やホテルなどの希望価格を指定し、その条件で提供できる事業者を探す仕組みで、ビジネスモデル特許を取得したことで広く知られるようになった。ただし、これは買い手が提示した価格に売り手が応じる仕組みであり、複数の売り手が互いに価格を下げて競争する典型的なリバースオークションとは厳密には異なる。
導入によるコスト削減効果が期待される一方、価格競争が過度に激化するとサプライヤー側の利益を圧迫し、取引の継続が難しくなる懸念も指摘されている。そのため近年では、単発の価格競争として終わらせるのではなく、調達データを継続的に管理・活用する仕組みと組み合わせて運用する動きも見られる。