ラインカード【line card】

家庭用や小規模事業所向けの小型ルータは一体型の筐体にすべての機能が組み込まれているが、通信事業者やデータセンターなどで使用する大型のルータ製品(キャリアグレードルータ)は「シャーシ」と呼ばれる筐体にカードを差し込んで使用する設計となっている。ラインカードはそのシャーシに装着される拡張モジュールの一種である。
ラインカードの主な機能は物理的なネットワークインターフェース(ケーブル差込口)の提供とフレーム転送処理である。1枚のラインカードには複数のポートが搭載されており、光ファイバーケーブルや銅線ケーブルを接続して信号の伝送を行う。ポートを通じて受信したフレームはカード上のASIC(特定用途向け集積回路)によって高速に処理され、転送先の判断が行われる。この処理をカード自体が担うことで、ルータ全体の性能を向上させることができる。
必要に応じてカードを追加・交換することでポート数や対応インターフェースの種類を変更できるため、ネットワークの規模拡大や要件変化に対応しやすい。また、多くのキャリアグレードルータはホットスワップに対応しており、システムを停止させることなくカードの交換や増設が可能だ。通信の継続性が求められる基幹ネットワークにおいて、この無停止運用への対応は重要な要件となる。
ラインカードにはインターフェースの種類、転送速度、対応プロトコルなどによって様々な種類が存在する。100Gbpsや400Gbpsといった高速インターフェースに対応したカードや、MPLSやセグメントルーティングといった特定の技術に最適化されたカードなど、用途に応じた選択が求められる。シャーシとカードは同一メーカーの製品で揃えるのが原則で、機種による互換性や対応状況の確認が必要となる。