読み方 : マンチェスターふごう
マンチェスター符号【Manchester coding】マンチェスタ符号化
マンチェスター符号とは?

1ビット分の時間を前半と後半に二分し、その中央で必ず電圧を反転させる。前半が高電圧・後半が低電圧であれば「0」、前半が低電圧・後半が高電圧であれば「1」を表す。規格によってはこの逆になる場合もある。いずれにせよ、すべてのビットの中央で必ず電圧遷移が起きるという構造は共通である。
この方式は、送信側と受信側で伝送タイミングを合わせるクロック信号を別線で送らなくて良いという大きな利点がある。受信側は各ビット中央の電圧変化を手がかりに、送信側のタイミングを自力で復元できる。同じ値が長く続いても電圧が止まらないため、ビット境界を見失いにくい。配線が簡素になり、通信路が多少不安定でも同期を維持しやすいのはこの自己同期性による。
もう一つの利点として、直流成分が生じにくいことがある。各ビット内で高低の電圧が必ず一度入れ替わるため、信号全体の平均電圧が安定する。これにより、絶縁トランスや交流結合の回路を介した伝送にも対応しやすくなる。この性質は長距離通信や一部の産業用途で有利に働くことがある。
一方、1ビットあたり必ず1回以上の電圧遷移が必要なため、同じデータ量を伝えるのに他の方式と比べて帯域幅を多く消費する。単純な二値信号(NRZ方式)と比べると、理論上は2倍の帯域が必要になる。通信速度や帯域効率を優先する状況では不利であり、現在の高速イーサネットでは別の符号化方式に移行している。
マンチェスター符号は初期のイーサネット規格(10BASE5や10BASE2など)で採用されたことがある。現在でも、RFIDや産業用通信、一部の組み込みシステムで使われており、伝送の高速性がそれほど重要ではなく、回路設計の単純さと信号の安定性が求められる用途では選ばれることがある。