ホログラム【hologram】
概要

作成には、レーザーのような可干渉性の高い光を用いる。対象物に照射して反射した光を「物体光」、記録媒体に直接当てる光を「参照光」と呼び、両者を重ね合わせる。その際に生じる微細な明暗の縞模様を「干渉縞」と言う。
干渉縞を写真フィルムなどの記録材料に焼き付けたものがホログラムである。記録済みの媒体に適切な光を当てると回折によって元の光の波面が再現され、立体像が浮かび上がる。見る位置を変えると像の見え方も変化するため、平面の写真とは異なる観察体験が得られる。
紙幣やクレジットカード、パスポートなどに使われる虹色に輝くシールもホログラムの一種で、「エンボスホログラム」と呼ばれる。干渉縞を微細な凹凸としてフィルム表面に型押しし、裏面にアルミの反射層を貼ることで作られる。太陽光や室内灯のような特別な装置を必要としない光でも立体的な視覚効果を確認でき、干渉縞のパターンは通常のプリンタやコピー機では再現できないため、偽造防止の用途で広く採用されている。
技術の着想は1947年、ハンガリー出身の物理学者ガーボル・デーネシュ(Gábor Dénes/英語読みはデニス・ガボール)によって示された。電子顕微鏡の性能改善に関する研究の過程で得られた発想であり、当初は十分な可干渉性を持つ光源が存在しなかったため実用化は進まなかった。1960年にレーザーが発明されたことで干渉縞を鮮明に記録できるようになり、研究は急速に進展した。この功績によりガボールは1971年にノーベル物理学賞を受賞している。
近年では実物をレーザーで撮影する方法に加え、3次元CG(コンピュータグラフィックス)のデータを基にフルカラーのホログラムを生成する技術や、コンピュータで干渉パターンを計算して作る「計算機合成ホログラム」(CGH: Computer-Generated Hologram)も実用化されている。応用範囲は偽造防止用のシールだけでなく、光学機器や計測、医療用イメージング、製品設計、ディスプレイ技術など様々な分野に及んでいる。電子線の干渉を利用して試料の電磁場情報を取得する「電子線ホログラフィー」のように、光以外の波を用いる研究も進められている。