ベースレジストリ【base registry】公的基礎情報データベース
ベースレジストリとは?

従来の行政運営では、同じ情報を複数の機関がそれぞれ独立して収集・管理している例が多く見られた。例えば、引越しの際には住民票の更新だけでなく、免許証や年金、不動産登記など各窓口に氏名、住所、電話番号といった同じ内容を繰り返し提出しなければならなかった。
ベースレジストリを整備する目的は、こうした重複を解消し、一度提出した情報を二度提出しなくて済む「ワンスオンリー」の仕組みを実現することにある。一つの場所に登録されたデータが正しい情報として扱われ、他の機関はそこを参照するだけでよくなる。正確かつ最新のデータが一元管理されると、行政だけでなく民間にも効果が及ぶ。公的に保証されたデータを活用することで、本人確認や契約事務の自動化が容易になり、不正確な入力や情報の不一致によるコストが削減される。
ベースレジストリは扱うデータの性質に応じて種類が分かれる。個人・法人に関するもの、土地・建物に関するもの、資格・免許・社会保障に関するものがその代表である。各レジストリには識別子(ID)が設けられ、このIDを介して別々のシステム間でも同一の人や組織を確実に紐付けられる。日本では「個人番号」(マイナンバー)が個人のIDに、「法人番号」が法人のIDに相当する。
データを道路や水道と同等の公共インフラとみなせば、ベースレジストリは情報流通を支える見えない配管に相当する。情報の共有が迅速に行える環境は、災害時の支援や感染症対策など緊急場面でも有効に機能する。連携を成立させるには、日付形式や住所表記、文字コードなどを統一するデータの標準化が前提となる。
エストニアやデンマークなど北欧・バルト諸国では、複数の行政機関が同一のデータ基盤を共有する体制が定着している。日本でも2021年のデジタル庁発足以降、住所や法人、不動産などの情報を標準化・共有する取り組みが進んでいる。一方、データが古いまま放置されると参照する行政サービス全体に誤りが波及するため、登録内容の正確さと最新性の維持が求められる。個人情報を扱う性質上、アクセス権限の管理とプライバシー保護の両立も引き続き課題となる。