フォトニクス【photonics】
フォトニクスとは?
光の最小単位である光子(フォトン)の生成・伝送・変調・検出・変換などを扱う科学技術分野。電子の流れを制御する「エレクトロニクス」(electronics)から派生し、光を電子のように自在に操ることで高度な機能を実現しようとする分野である。

光は電磁波の一種であり、波と粒子(光子)の両方の性質を持つ。光子は電子と異なり電荷を持たないため電磁ノイズの影響を受けにくく、真空中では光速で移動する。波としての干渉・回折を利用した精密な計測や、粒子としての性質を活かした高感度な検出が可能であり、通信や計測など様々な用途への応用が進んでいる。
フォトニクスを構成する主要な要素として、まずレーザーが挙げられる。単色性と指向性に優れたレーザーは精密加工や高精度計測を可能にし、産業や医療などで不可欠な光源となっている。発光ダイオードや半導体レーザーは電気信号を光信号に変換し、光検出器はその逆を担う。光ファイバーは内部での全反射を利用して光信号を長距離にわたって低損失で伝送し、現代のインターネット基盤を支える。
現代社会におけるフォトニクスの応用例としては、大陸間をつなぐ光ファイバー通信網、切開を伴わないレーザー治療や生体画像診断、金属の精密切断や非接触センシングを行う産業機器、スマートフォンのカメラや光ディスクなどがある。日常の様々な場面に光を応用した高度な機器が組み込まれている。
先端分野では、半導体基板上に光学素子を集積する「シリコンフォトニクス」(silicon photonics)が注目されている。電気信号で行われきた情報処理を光信号に置き換える試みで、電気配線を光配線に置き換える。チップ内の消費電力と発熱を抑えながら高速処理を実現する技術として、AIや高性能コンピューティングの進展と連動して開発が加速している。また、単一光子を扱う「量子フォトニクス」(quantum photonics)の分野では、量子コンピュータや量子暗号への応用が模索されており、次世代の情報通信を支える技術として研究が進む。