ピット【pit】
概要
メディア表面には螺旋状または同心円状に「トラック」が設定されており、ピットとランドが交互に並んだ凸凹の形状になっている。光学ヘッドから照射されたレーザー光は記録面で反射するが、ピットとランドでは反射率に差が生じる。この反射光の変化を光センサで検出し、電気信号に変換することでデータを読み出す仕組みである。
ピットとマーク
CD-ROMやDVD-ROMなど再生専用メディアは、製造時に基板表面へ物理的なくぼみを打ち込んで記録する。一方、CD-RやDVD-Rなどの追記型メディアでは、レーザー熱で有機色素を化学変化させて反射率を下げ、CD-RWやDVD-RW、DVD-RAMなどの書き換え型メディアでは、相変化記録膜の結晶状態と非晶質状態を切り替えることで反射率を変化させる。いずれも物理的なくぼみの代わりに、光学的な性質の違いによってピットと同等の効果を作り出しており、この疑似的なピットは「マーク」とも呼ばれる。
最小ピット長
同一メディア内で最も短いピットの長さは「最小ピット長」と呼ばれ、これが短いほど単位面積に多くのデータを記録でき、記録密度を高められる。最小ピット長はCDで約0.83μm(マイクロメートル)、DVDで約0.40μm、Blu-ray Discで約0.15μmとなっており、短波長レーザーの採用やレンズ性能の向上により微細化が進んできた。記録密度を高める手法としては、最小ピット長を縮める以外に、トラック同士の間隔であるトラックピッチを狭める方法も併用される。
記録方式
データの識別方式には、ピットの有無そのものをビットデータに対応させる「マークポジション記録方式」と、ピットの開始位置と終了位置(エッジ)の変化をピットの反転として捉える「マークエッジ記録方式」がある。後者は、反射率が一定のまま読み取られた区間を「0」、反射率がピットの境界で変化した箇所を「1」と認識する方式で、ピット自体の長さにも情報を持たせられるため記録効率が高く、トラックの浪費を抑えながらピット長を縮められる。この特性から、CDやDVDをはじめとする実用化されている光ディスクの多くで採用されている。
CDでは、ピットとランドの切り替わりをそのまま記録するのではなく、「EFM」(Eight to Fourteen Modulation)と呼ばれる変調方式を用いて記録パターンを生成し、元のデータを復元する仕組みが採られている。また、DVD-RWなどでは、製造時にあらかじめ形成される「ランドプリピット」(LPP:Land Pre-Pit)によってアドレス情報を記録する方式もあり、これは通常のデータ記録用のピットとは区別して扱われる。
